今はやりの危機管理とは?
日本大学のアメリカンフットボール部の危険タックル事件は、沈静化するどころかますます炎上の様相を呈しています。
特に、日本大学側が、会見を行う度に世間の目は日本大学に対して厳しくなっていっているようです。
5月23日夜に行った会見では、元監督、コーチの苦しい言い訳もさることながら、司会者の横柄な態度も加わり、事態をますます悪化させただけでした。
会見後、多くの「危機管理」の専門家が厳しい指摘しかしていないことでも、あの会見は失敗であることは明らかです。
この日本大学アメリカンフットボール部の危険タックル事件関連のコメンテーターに「危機管理」の専門家が出てきています。
では「危機管理」とは一体何なのでしょう?
「危機管理」とは?
危機管理(Crisis management)というのは、危機が発生した時、その危機による負の影響が最小限になるよう、早くに危機状態から脱出し、危機状態を回復することです。
危険タックル事件の場合、どう見ても日本大学側が危険行為をしたのが明らかであるため、非難が日本大学側に殺到するのは当たり前のことです。その非難を沈静化し、相手側の怒りを解いてもらい、日本大学に対する悪評が広まるのをいち早く防ぐというのが正しい危機管理なのでしょう。
しかし、今回の日本大学の行動はすべて逆を行っているとしか思えません。
日本大学危機管理学部
皮肉なのがその日本大学に危機管理学部があるということです。
危機管理学部がある大学はまだ少なく、日本大学の他は千葉科学大学と倉敷芸術科大学くらいです。
余談ですが、この二つの大学は学校法人加計学園が運営しています。それもまた皮肉なことですね。
日本大学の危機管理学部のホームページを見てみるとカリキュラムポリシーとして
『自主創造の理念の下、文化的素養と市民的教養を錬磨する総合教育科目の基礎の上に、リーガルマインド(的確・柔軟な判断力)を涵養するための法学系専門科目を体系的に配置するとともに、リスクリテラシー(危機管理能力)を醸成するための災害マネジメント、パブリックセキュリティ、グローバルセキュリティ、情報セキュリティの4つの領域から構成される危機管理系専門科目を配置する。講義型授業と演習・総合型授業との連携において、これらを有機的に結合させることにより、自ら学び、考え、道をひらく能力と、リーガルマインドに裏打ちされた多角的かつ理論的で着実なリスクリテラシーを開発する。この教育課程により、多様な現代社会の危機に際して、制度と組織を有効にマネジメントし、問題解決のために主体性と協調性をもって行動できる人材を養成する。』(参照:日本大学危機管理学部ホームページ)と書かれています。
この学部があるにもかかわらず、経営陣が行った会見が炎上に次ぐ炎上を引き起こしている現状を見ると、「よし、日本大学で危機管理を学ぼう!」と受験生が決意するとも考えにくいし、「この学部があるのになぜ?」と不思議に思われるのも仕方ないのではないでしょうか。
日大教職員組合が声明を出していることを考えると、これまで行った会見は危機管理学部の教授などは関与していないように思われますが、現在、日本大学危機管理学部に在籍している生徒や教授などはいたたまれない気持ちだと思います。
現在は、スマホなどの普及により、音声や画像が誰でもすぐに残せる時代になりました。以前なら「知らない」「やってない」と嘘がつけたことが、音声や画像という決定的な証拠が残ることによりできなくなりました。証拠を見せつけられてなお白を切るという態度は世間の目を厳しくするだけです。
だからこそ、いわゆる「炎上」を防いだり、早く沈静化させる「危機管理」がますます必要になると思います。
日本大学の危機管理学部は今回の騒動を「生きた教材」にして、素晴らしい人材を育ててほしいですね。