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今年も日本の研究者がイグノーベル賞を受賞!
日本の研究者が「動力学賞」を受賞
今年もイグノーベル賞の受賞者が発表されましたね。
今年は、京都工芸繊維大学の村上久助教が、歩きスマホが本人や周囲に与える影響についての研究で、「動力学賞」を受賞されました。
その研究によると、集団の中に歩きスマホをする人がいると、集団全体の歩行速度が遅くなるということが分かったそうです。
そもそもイグノーベル賞とは?
ノーベル賞のパロディ版?
ノーベル賞は、誰もが知るとても有名な賞ですよね。
高名な研究者が、物凄く難しい研究をしてやっと受賞できるのがノーベル賞、というイメージですよね。
実際、ノーベル賞を取った研究を聞いても、難しすぎて理解できないけれど、きっと凄い事だとはわかる、と言った感じです。(個人の感想です。)
それに対して、イグノーベル賞というのは、「人々を笑わせたうえで、価値もある研究」に対して送られる賞なんですよ。1991年に創立され、今年でちょうど30年の歴史があります。
イグノーベル賞の「イグ」とは、否定的な接頭辞「ig」なのですが、ig+Nobel(ノーベルの英語スペル・ノーベル賞の創始者の苗字)と、英単語の「ignoble」をかけたジョークでもあるのです。字面も発音も似ていますもんね。
「ignoble」の日本語の意味は、「下品な、下等な、見下げた」で、どう見てもいい意味ではないんです。
なので、イグノーベル賞は「ノーベル賞に対して下品な、下等な賞」みたいな自虐的ジョークの賞でもあるようです。
イグノーベル賞の賞は多岐にわたる
ノーベル賞の賞は、物理学・化学・生理学・医学・文学・平和・経済学ですが、イグノーベル賞の賞は多岐にわたっています。
イグノーベル賞は、1991年~2020年までで
- 化学賞
- 医学賞
- 教育賞
- 生物学賞
- 経済学賞
- 文学賞
- 平和賞
- 考古学賞
- 物理学賞
- 栄養学賞
- 美術賞
- 心理学賞
- 消費者工学賞
- 映像技術賞
- 数学賞
- 昆虫学賞
- 公衆衛生賞
- 歯学賞
- 生物多様性賞
- 天文学賞
- 情報伝達学賞
- 気象学賞
- 安全工学賞
- 科学教育賞
- 統計学賞
- 社会学賞
- 環境保護賞
- 健康管理賞
- 計算機科学省
- 天体物理学賞
- 技術賞
- 境界領域研究賞
- 工学賞
- 農業史賞
- 流体力学賞
- 鳥類学賞
- 音響学賞
- 言語学賞
- 航空学賞
- 認知科学賞
- 獣医学賞
- 交通計画賞
- 経営学賞
- 公共安全賞
- 神経科学賞
- 解剖学賞
- 安全技術賞
- 蓋然性賞
- 北極科学賞
- 診断医学賞
- 生理学賞
- 知覚賞
- 産婦人科学賞
- 人類学賞
- 医学教育学賞
- 生殖医学賞
- 経営者賞
- 材料工学賞
これだけありました。
今回受賞された、村上久助教の「動力学賞」も、新しい賞ですよね。
日本の研究者はイグノーベル賞の常連
イグノーベル賞30年の歴史の中で、日本の研究者は2021年で15年連続受賞となっているのをご存知でしたか?
日本の研究者の受賞の歴史
最初の受賞は、2007年化学賞で、受賞内容は「 牛の糞からバニラの香りと味のする物質(バニリン)を抽出した」というものだったそう。
2008年は、認知科学賞。受賞内容は「単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があったことを発見」、
2009年は、生物科学賞。受賞内容は「ジャイアントパンダの排泄物から採取したバクテリアを用いると、台所の生ごみは質量90%以上削減できることを示した」、
2010年は、交通計画賞。受賞内容は「粘菌を使って鉄道網の最適な路線を設計できることを示した」、
2011年は、化学賞。受賞内容は「火災などの緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度の発見と、これを利用したわさび警報装置の開発」、
2012年は、音響学賞。受賞内容は「 自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせることでその人の発話を妨害する装置、「スピーチジャマー (SpeechJammer)」を発明したこと 」
2013年は、なんと2部門で受賞!まずは医学賞。受賞内容は「心臓移植を受けたマウスにオペラを聞かせた効果を評価したこと」。そしてもう一つは化学賞。受賞内容は「タマネギが人間の目から涙を出させる生化学的な過程が、科学者が以前に理解していたよりもずっと複雑であることを発見」、
2014年は、物理学賞。受賞内容は「 人間が床に置かれたバナナの皮を踏んでしまった際の、バナナの皮と靴の間の摩擦、およびバナナの皮と床の間の摩擦の大きさを計測したこと 」、
2015年は、医学賞。受賞内容は「激しいキス、 その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験 」、
2016年は、知覚賞。受賞内容は「 前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、違って見えることを調査したこと 」、
2017年は、生物学賞。受賞内容は「 洞窟内で雌陰茎、雄膣をもった昆虫の発見 」、
2018年は、医学教育賞。受賞内容は「座位で行う大腸内視鏡検査を自ら試してわかった教訓」、
2019年は、「化学賞」。受賞内容は「 一般的な5歳児の一日に生産される唾液の総分泌量を見積もったこと 」、
2020年は、音響学賞。受賞内容は「ヨウスコウワニにヘリウムガスを吸わせても声が変化することを調べた」
と、ありとあらゆる分野で受賞しているんですよ!すごいですよね。
しかも、受賞内容が、どれもちょっとどんな研究だったのか知りたいと思うものばかり!
面白い研究ですが、決してふざけているわけではなく、その後とても役に立っていたりもするんですよ。
例えば、2014年のバナナの皮の実験は、その後人工関節の研究に応用されていますし、2019年の子どもの唾液の分泌量の実験は、 虫歯の予防における口腔ケアでの唾液量の基礎データとして、医学論文で国際的に引用され続けているのだそうです。
頑張れ!日本の研究者!
ノーベル賞でも、イグノーベル賞でも、受賞するって物凄いことだと思うんです。
その研究に、情熱と時間をかけた結果ですもんね。
日本の研究者の立場って大変、と良く聞きます。予算が無くて研究を続けられないとか、研究者だけで食べていくのが大変だとか・・・。
でも、こんな風にたくさんの日本人研究者が賞を受賞し、その研究が色々な分野に活かされているのも事実です!
なので、日本の研究者の皆さんには頑張ってください!と声を大にして言いたいですね。
国や会社も頑張って研究者のサポートしてくださーい!とも言いたいです!