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腰痛の中には、筋肉や骨などに器質的異常がない心因性腰痛もある
腰痛は人類の永遠の課題
腰痛、それは、人類が二本足で直立歩行しはじめた時からの永遠の悩みだと言われています。
哺乳類の陸上動物の骨格や筋肉は、四本足歩行に適したつくりになっています。
しかし、人類の祖先は進化の過程で、二本足歩行ができるようになりました。
この過程で、骨盤の傾きが、前に約30度傾いてしまいました。
傾いた骨盤の上に重い上半身が乗っているという不安定な構造になってしまったのです。
そして、不安定な骨盤の上にある、重たい頭がある上半身を支えている「腰の骨」への負担が大きくなりました。
腰の骨を腰椎と言い、これが腰痛の主な原因となります。
腰痛の原因
腰痛は、この腰椎の不安定さに加えて、加齢、様々な持病、運動のしすぎ、運動不足、重いものを急に持ち上げるといった不意な動きなどによって引き起こされます。
環境も重要な要因で、重労働の時間、生活の状態、疲れ、ストレスなども関係していると考えられています。
腰痛には心因的なものもある
腰痛の原因
腰の痛みの種類は、主に3つに分けられます。
1つ目は、腰椎そのものや周りの筋や筋膜に異常がある腰痛
2つ目は、神経が障害されて痛みを感じる腰痛
3つ目は、器質的な原因がないのに心理的に痛みを感じている場合の腰痛
心因性の腰痛とは?
検査で腰痛の原因となるような骨や他の組織の異常や病気が見当たらない、または、画像検査での異常と腰痛の症状と一致しないことがあります。
このような原因不明の腰痛や治りにくい腰痛には、心の問題が関わっていると言われるようになってきました。
つまり、原因不明とされてきた慢性腰痛の中に「心因性腰痛」が、含まれているのです。
慢性腰痛を訴える患者さんは、約80%に抑うつ状態とも言われています。
ストレスや心の問題が腰痛に大きく影響していると言われています。
本当に心因性腰痛と言っても良いのか?
個人的には、慢性の腰痛をすべて心因性にしてしまうのは乱暴だと思っています。
慢性の腰痛があれば、誰しも心が重たくなります。
鶏が先か卵が先かという問題で、抑うつ状態だから、痛みを感じていると結論付けるのは微妙だなと思います。
今までの医学の歴史の中で、原因がわからない場合にストレスや心理的な原因と診断したものの、最終的に器質的な原因が判明することもありました。
例えば、交通事故のむちうちも臨床的に多いのに、ストレスや賠償金目当てなんて言われていたのが、現在は、微少な脳損傷だとか、脳脊髄液減少症など器質的な障害とわかってきています。
ストレスで痛みが増幅される
人は、不安、抑うつ感など心理的ストレスを受けている時に、痛みをより感じやすい状態になっています。
また、体が非常に疲れている、眠れない、孤独感など肉体的社会的なストレスの場合も、通常より痛みを感じやすい状態になっています。
痛みは、身体の異常を知らせるために重要なのですが、ストレスを受けると、小さい痛みを強く感じたり、痛みの原因であった病気やケガの治癒後に痛みだけが残ってしまったりする場合があります。
体の組織が損傷した時には、痛みの電気信号は神経を伝って脳に伝えられます。
人間の脳には、この痛みの信号を抑制するシステムが備わっています。
このシステムを下行性疼痛抑制系と言います。
痛みが発生した時には、このシステムが痛みを和らげてくれます。
健康な人は、このシステムがあるので、小さな痛みは感じずに済み、大きな痛みでも生活に支障がない程度に抑えられます。
ところが、ストレス下に長期間おかれると、この痛みを抑えるシステムがうまく働かなくなります。
その結果、痛みを実際以上に強く感じるようになります。
例えば、疲労時の腰のだるさや重さなど、普段なら痛みとして認識しないものが、痛みに変わったりします。
また、ストレスがあると、自律神経が過敏になり、少しの症状でも強い痛みを感じるようになります。
このようなことは、私たちの日常生活で誰でも体験しています。
例えば、何かに集中しようとしている時に、他の雑音や臭いが気になって、集中できないなどの時に、その雑音や臭いは普通より大きく感じているはずです。
慢性の心理的な痛みと言われてきたが、実は脳内回路でできる痛みだった
末梢の神経が傷つくと、その傷ついた箇所から脊髄を通じて脳の外側に位置する大脳皮質へと電気信号が送られ、痛みや触れる感覚が生じます。
慢性の痛みでは、痛みや触れる感覚に関係する大脳皮質において神経細胞同士のつながりが変化していることがわかってきています。
その結果、ほんの少し触れただけで強い痛みが生じるようになるようです。
つまり、長く痛みが続くと、脳内で痛みの回路ができあがり、末梢である腰は関係なく痛みが起きているのです。
こうなると鎮痛薬などは効きにくくなり、腰痛は治りにくくなります。
ですので、慢性の腰痛になる前に、つまり、脳内の回路が出来上がる前に、早期の痛みをとる必要があります。
痛みは、あまり我慢しないほうが良いと言われています。
腰痛は接骨院へ
腰痛が起こったとき、接骨院では、基本にのっとり、最初は冷却や安静などを行います。
炎症を増幅させるため、温めたり、揉んだりしてはなりません。
もちろん、痛い中、待合室で待つ自信があるなら、整形外科で検査や薬の処方もありです。
ただ、ロキソニンや湿布薬は、薬局でも買えます。
薬を使いたければ、誰かに頼んで買ってきてもらった方が楽です。
なるべく、痛みを起こさないという意味でも、保険適応という意味でも、腰痛は接骨院の受診が良いと思います。
コルセットでの固定も安静の一つです。
ただ、最近の研究では、コルセットでの固定は短期間で、痛くても動かすことで、痛みが早く引き予後が良いともいわれています。
先ほどの脳内回路の考え方とは、逆なのですが、これもエビデンスの一つではあります。
ただ、コルセットは3日間くらいが良いとの報告でしたが、私自身の経験上、3日ではかなり不安です。
エビデンス・ベースド・メディシンも大切ですが、個人に合わせるのも重要なのかとも思います。
もっとも、コルセットが何日が良いかというのが、本当にエビデンスなのかと疑問ですが。
そして、急性期が終わったら、接骨院では、固まってしまった筋肉をほぐす手技などを行います。
これで、慢性の腰痛になることは、まずありません。
もし慢性腰痛がある方でも、つまり脳内回路が出来上がってしまっている場合でも、接骨院の施術は非常に有効です。
(慢性の腰痛には、圧迫骨折などが含まれている場合がありますので、整形外科に行ってない老人などは注意が必要です。)
ただ、整骨院は、保険適応が外傷であり、慢性腰痛は適応にはなりません。
参考:ケガの時は、RICE(ライス)
・Rest レスト=安静、動かさない
・Ice アイス=冷却
・Compression コンプレッション=圧迫
・Elevation エレベーション=挙上
松阪市で腰痛でお困りの際は、松阪こた堂接骨院へ
松阪市で腰痛でお困りの際は、松阪こた堂接骨院にお越しください。
慢性腰痛になるのを防ぐべく、エビデンスを踏まえたうえで、個人差を考え、オーダーメイドの治療をいたします。
一緒に腰痛とたたかいましょう。
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