アフリカを放浪する旅人を恐怖に陥れる寄生虫と言えば、マラリアと住血吸虫であろう。
住血吸虫症は、住血吸虫が生息する水に触れることによって感染します。
セルカリアと呼ばれる幼生が皮膚を突き破って体内に侵入して発症するのです。
アフリカに生息するビルハルツ住血吸虫は、膀胱壁に移動した後、産卵します。
そして、症状としては、血尿がでるのです。
そんな恐ろしい寄生虫がいるマラウィのマラウイ湖は、安くダイビングができるリゾート地です。
現地の人や他の旅人が泳いでいるのを見て、旅人は、水に入るかどうか迷うのです。
目次
アフリカの淡水には、ビルハルツ住血吸虫がいるかも!皮膚を突き破って感染して血尿がでる。
住血吸虫症
住血吸虫という寄生虫に感染することによってかかる病気です。
人から人へ感染することはないので、流行地に旅行に行った人を恐れる必要は全くありません。
住血吸虫は、川や沼など淡水に生息しています。海水にはいません。
シュノーケリングなど水辺で泳いだり、カヌーやラフティングなどのレジャー、池や湖の水を使ったシャワーを浴びたりすると、いつの間にか皮膚から侵入します。
正確には、住血吸虫は哺乳類を終宿主、淡水産巻貝を中間宿主としており、この巻貝からでたセルカリアと呼ばれる幼生が哺乳類の皮膚にたどり着くと、皮膚を突き破って体内に侵入するのです。
セルカリアは、タンパク質分解酵素を分泌して、皮膚内に入ると報告されています。
体内に入った住血吸虫は、2日ほど皮膚にいた後、細静脈を通って、最終寄生臓器に移動します。
そこで、産卵します。
親虫が症状を引き起こすのではなく、宿主の虫卵に対する免疫反応による炎症が、組織が損傷するため、駆虫したとしても、虫卵が臓器にある限りは症状が持続すると言われています。
皮膚から侵入して産卵するまでに、1か月半から2か月かかるので、潜伏期間が、2か月以上になる場合もありますので、帰国後の発症もあります。
ビルハルツ住血吸虫
ビルハルツ住血吸虫は、アフリカ、マダガスカル、中近東に生息する住血吸虫です。
この住血吸虫の特徴は、直腸静脈叢を経由して膀胱、尿管、腎臓などの静脈叢へ移動し、そこで産卵します。
尿路系に産卵して、その部分が免疫反応で炎症反応を起こして出血します。
よって、ビルハルツ住血吸虫の主要症状は、血尿になります。
診断
患者血漿から、ELISAによって検出できます。
また、ELISAが使えない場合は、遠心分離した尿を顕微鏡で観察し、虫卵を見つけ出すことで診断できます。
治療
住血吸虫は、1日に数千個の卵を産む場合もありますので、早めの診断治療が必要です。
プラジカンテルやメトリホナートなど駆虫薬で治療します。
現地の薬局で容易に手に入る場合が多いようです。
ただ、親虫を駆虫しても、卵によるアレルギー反応ですので、症状が直ぐにはおさまらない場合があるようです。
予後
ビルハルツ住血吸虫症の急性期には頻尿、血尿ですが、慢性期になると、膀胱壁などが線維化してきます。
膀胱への尿管開口部が狭窄を来たすと、尿管閉塞から水腎症、腎盂腎炎、腎不全にも進展することがあります。
膀胱癌の発生は30倍に高まると言われています。
予防
予防のためのワクチンや薬剤はありません。
流行地では、池や川、湖などの淡水に接触しないことが重要です。
適切に塩素が加えられたプールや海水であれば、感染することはありません。
ビルハルツ住血吸虫がいる観光スポット
ビルハルツ住血吸虫は、アフリカ、マダガスカル、中近東の川や水辺の淡水ならどこにでもいる可能性があります。
特に、旅する旅行者に有名なのがマラウイのマラウイ湖でしょう。
住血吸虫の恐怖でも有名ですが、マラウイを代表するリゾート地であるので、アフリカを縦断する旅人の休息スポットでもあるのです。
アフリカ旅行で疲れた体をリゾートは癒してくれますが、格安ダイビングやシュノーケリングの誘惑に負けないようにするのが大変です。
また、湖を使った現地の人の生活も見られるので興味深いですが、逆に、彼らや他の旅行者が水に入っているのを見ると危険ではないと思ってしまうかもしれません。
ただ、リスクは回避したほうが良いと思います。
リゾートなら、住血吸虫の心配がない、隣のタンザニアのザンジバル島などで、きれいな砂浜で遊べば良いでしょう。
実際、アフリカを旅行した旅人の血尿の話を聞くことがあります。
元気に回復すれば、旅の話のネタではありますが、癌などの発生率を考えると感染するような行動は避けるべきだと思います。
旅の安全を願っています。