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池田小事件で使用のトリアージとは?方法?トリアージタッグ色分け黒赤黄緑

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トリアージタッグ
       

H30年6月13日の朝のテレビで、池田小事件でも誰を最初に運ぶのかというトリアージについて放送されていました。

事故の現場で大勢の負傷者がいたとします。誰もが自分や自分の子供などをすぐに病院に運んでもらいたいと思っています。
誰を優先して、病院に運ぶべきでしょうか?心理テストやサイコパステストのようですが、現実におこることなのです。
素人目には、血だらけで泣き叫んでいる子供を優先とか、映画のように女子や子供が先だなんて、思ってしまいます。
しかし、実際の現場では、命を助けるべく、訓練を受けた医師などが「トリアージ」します。
場合によっては、血だらけで骨が折れていると思われる子供よりも、怪我のないお腹が痛いと言っている屈強な大男が先に搬送されることだってありますし、大量の出血をしており虫の息の人を放置して、脚の骨折をしている人を運ぶことだってあるのです。

今回は、そんな「トリアージ」ついてです。

トリアージとは?

トリアージとは、災害や事故の現場で、同時に多数の負傷者が発生し、医療のキャパシティーが十分でない場合において、その負傷者の重症度や緊急度によって、搬送や治療の順番を決めることです。
病院外来で、緊急度の高い人から診察するようにするのも、一種のトリアージと言えるかもしれません。

トリアージの語源

トリアージの語源は、フランス語のtriageで、選別という意味です。
繊維商人が、羊毛を品質によってクラス分けするのに使ったと言われています。
ナポレオンの時代には、傷ついた戦傷者の中から、軽傷者を手当てして戦線に復帰させるという戦略的な言葉でもあったようです。現在の「トリアージ」の概念が確立されたのは、第一次世界大戦後になります。

日本語だと、あまり使わないですが「識別救急」となるようです。

三つのT

「三つのT」といわれる救急の原則があります。
そのTとは、Triage(選別)、Transport(搬送)、Treatment(治療)、

トリアージは、この救急の三つのTの一つになります。

トリアージの問題点

軽症者は、意識が清明で、苦痛の訴えは激しくなる傾向があります。また、周りが見えているので不安が大きくなり、早く現場から立ち去りたい欲求が高いといえます。逆に、重症者は、ぐったりしていて苦痛を訴えにくく、周りが見えてないので、大丈夫かと尋ねると大丈夫なんて返答したりします。
また、血だらけで泣き叫んでいる子供の親などは、我が子が一番先に治療や搬送されるべきだと考えていたりします。

このような中での、優先度判定は、非常に難しくなります。
トリアージしている最中や救急車に乗せるときに、「なぜ、この子が先じゃないんだ」「一緒に乗せてくれ」「この子が死んだら、お前責任とれるのか!」という混乱が予想されます。
このように、軽傷者本人や周りの人が、優先度判定に疑問をもって、現場でのトリアージや治療の妨げになるかもしれません。また、トリアージに不信感を持った場合、後日のトラブルの原因となる可能性もあります。

実際、トリアージするに当たり、救命の現場で働く看護師や救急救命士であったとしたら、医師と遜色ない迅速かつ確実な判断ができると思われます。しかし、死亡の診断を下すことが法的に許されていない医師以外の人間が、死亡や助けられないと判断するのは、後日の訴訟などを考えると心理的に決断が難しくなるといえるでしょう。

トリアージは、極端に言ってみれば、医療の効率を求めるため、少数を見捨てて、大勢を助けるという発想であり、全ての患者を平等に救うという医療の原則からは、緊急時の例外です。
そのため、大勢の負傷者が発生し、医療のキャパシティが足りず、搬送できる患者の数が限られていたり、医療を施すことが出来ない患者が必ず発生してしまうことが明らかな極限状態でのみ、行われるべきものです。
例えば、心肺停止でも、通常時なら、心臓マッサージをしながら搬送して、十分な医療を施せば助かるかもしれなかったとしても、その場でそれができない状況と判断されてしまえば、死亡となってしまう可能性もあるのです。
頭ではわかっていても、実際に、自分や家族が選別されてしまった場合、全員が納得できるとは思えないので、災害の現場では、トリアージは大変な仕事になると思います。

実際のトリアージは、トリアージタッグを使う

それでは、どのようにトリアージしていくのでしょうか?
トリアージには、トリアージタッグ(トリアージタグ)を使用します。下のような、黒・赤・黄・緑の色のついたカードになります。
トリアージ、応急措置、搬送、治療を通して利用でき、3枚つづりになっています。1枚目は「災害現場用」、2枚目は「搬送機関用」、3枚目の「収容医療機関用」となっており、3枚目の裏面には、医療情報や特記事項等が記載でき、カルテとして活用できるようになっています。

トリアージでは、医師などが、負傷者の状態を把握した後、トリアージタッグの不要な色の部分を切り取り、原則として、負傷者の右手首に取り付けます。

黒(第4順位)カテゴリー0

不搬送、不処置群
死亡。生命徴候がなく、直ちに処置を行っても明らかに救命が不可能な人。体幹や頭部に重大な損傷があり、既に生命反応がなくなりかかっている人など。

緑(第3順位)カテゴリーIII

軽処置群、軽症群、保留群
歩行可能で、今すぐの処置や搬送の必要なく、救護所または帰宅後の近医での処置で間に合う人。完全に治療が不要な人も含む。

黄(第2順位)カテゴリーII

待機的治療群、中等症群
今すぐに治療しなくても、生命に影響がある重篤な状態ではないが、放置すれば悪化する可能性がある人。赤ほどではないが、早期に処置をすべき人。基本的には、バイタルサインが安定している人。

赤(第1順位)カテゴリーI

最優先治療群、重症群
生命に関わる重篤な状態で、一刻も早く処置をすべき人。速やかに搬送し、救急医療機関で治療を開始すれば救命可能な人。

搬送・救命処置の優先順位は、赤 → 黄 → 緑となり、黒は最後に救護所へ搬出されます。

トリアージタッグの問題点

上のもぎ取り式のタグは、偶然または故意の行為によってタグがもぎ取られることで、評価が変わってしまいます。このため、トリアージ区分を併記するなどの注意も必要です。

また、簡便なトリアージタッグでは、同じ判定の傷病者でも優先度が大きく異なる場合がでてきます。例えば、すぐに透析や手術が必要な「典型的赤」と「黄に近い赤」の負傷者が、トリアージではいずれも同じ「赤」となってしまい、同じ赤でも優先すべき人の搬送が遅れる可能性もあります。

世界初の標準的トリアージタッグ

1994年(平成6年)の中華航空機墜落事故の際に、消防や医師会などでトリアージタッグの様式が異なっていたため、現場が混乱しました。
そこで、1996年(平成8年3月)、厚生省、国土庁、消防庁、防衛庁、日本医師会、日本救急学会等からなる「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」においてトリアージタッグの標準化が検討され、標準的トリアージタッグが公表されています。この書式が、国単位で統一されたのは日本が初めてだそうです。

   
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