救急医療

米軍採用の失血死を防ぐターニケットとは?価格や使用方法など

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ターニケットって知っていますか?

3.11に防災用品をみなおしていた時に、ターニケットを非常持ち出し袋に入れるべきかと悩みました。結局は車に積んでおくことになりましたが、使うことがないことを祈っています。

ターニケットとは止血帯のことで、簡単で小さな道具のことです。
失血死を防ぐために重要な命を守るターニケットですが、あまり知られていないような気がします。
今回は、ターニケットについて調べてみました。

米軍も採用する失血死を防ぐターニケットとは?

失血死は全外傷死の15%。処置が早ければ3分の1は助かるかもしれない

日本人の死を統計でみると、1位は悪性新生物、すなわち癌で、2位は心疾患、3位は脳血管疾患、4位は肺炎、5位は老衰となります。
ただ、これは全体の統計であって、各年代ごとには異なります。
15歳から39歳までは自殺が1位ですし、1歳以上34歳までは、1位から3位までのどこかに不慮の事故が含まれます。
「不慮の事故」は交通事故のイメージですが、交通事故死は年々減り続け、2005年を最後に窒息に抜かれて第2位になっています。3位以降は転倒転落、溺死などが続きます。

死亡を含むすべての外傷数をみてみると、外傷の初診患者数は年間約700万人、救急初診が300万人弱、入院患者が約100万人と消防の統計などから類推されています。
死因の内訳についての我が国のデータは探しきれませんでした。たぶんないんじゃないかな。

ただ、カナダの研究によりますと、外傷死の原因の60%が脳などの損傷である中枢神経系損傷(central nervous system injury)で、15%が出血だったそうです。
鈍的外傷による失血死のうち36%は、初期治療が適切に行うことができたなら防ぐことができたと考えられています。

明らかにケガが多そうな軍人に目を向けてみると、やや出血による死の割合が増えます。
アフガニスタン&イラクで亡くなられた米国軍人は24%が出血による死だったそうです。そのうち67%は圧迫止血が難しい体幹部の出血であったので、よほどの早急な処置がないと助からなかったのですが、逆に考えると残り33%の兵士は止血がうまく行えれば助かったかもしれないということです。

半分の血液を失うと人は生きていられない

人間の血液量ってどれくらいか知っていますか?だいたい4~5リットルなんて聞いたことがあるかもしれませんが、もちろん体の大きさによって違います。
循環血液量といって血管内にある血液量は、だいたい体重1キロあたり65mlだそうです。違う見方をすると、体重の約8%、1/13で計算できます。
体重60キロの人で4~5リットルとなる計算になりますよね。

この血液をどれだけ失うと生きていられないかというと、3分の1から半分といわれています。
動脈からの出血の場合、血管内から一気に血液が失われるので、4分の1でも生命の危険があるようです。それに対し、ゆっくり出血する静脈からの出血の場合、血管内に組織液が戻ったり血管が収縮するなどの防御反応もあり、半分でもうまくすると助かるようです。

量にすると1リットルで生命の危機、1.5リットルを超えてくると死亡の可能性が高くなります。

詳しくは、出血性ショックなどで検索するとでてきます。

初期に止血をすることで助けられる命がある

我が国の統計では、1歳以上34歳までの子供や若者の死因1位から3位までのどこかに「不慮の事故」が含まれます。
適切な処置をほどこせば助かると推定される外傷死亡は、外傷死亡総数の30%を超えていると推測されています。

米軍のデータでも、出血による戦死の3分の1は初期の処置で助かった可能性があるといわれています。

米軍でターニケット採用で死亡率が下がる

2005年、米軍では兵士の命を守るためのファーストエイドキット(応急処置用品)に、「ターニケット」を装備し始めたそうです。
英語では、Combat Application Tourniquetといい、戦術止血帯と訳されています。
なんだか言葉だけ見るとすごいもののようですが、戦闘で使うために軽く持ち運べ、簡単に操作できる小さな道具です。
実は、映画などで知らないうちに見ているかもしれません。戦闘で撃たれたときに、何やらバンドで傷をしばっている道具がそれです。

そして、実際に米軍では出血による死亡率が減少したそうです。

止血帯 CATターニケット [ オレンジ ]

ターニケットの使い方

ターニケットは、四肢の止血で使用します。
圧迫で止血できるような静脈性の小さな傷というより、いかに出血を早く止めて血液の喪失を少なくするかという状況で、動脈性の出血を止めるために使用します。

戦場の場合は、誰も助けてくれないかもしれません。
ですので、ターニケットは兵士一人だけで片手で操作できるようになっています。

簡単な手順で素早く確実に装着できるようになっていますので、その方法を見てみましょう。

いろんな製品がありますが、とりあえずは、米軍に採用されている製品の使い方です。

まず、患部よりも5センチから7センチほど心臓側でバンドをまいて固定します。ズボンのベルトのようにバックルに通して固定できます。
オートロックがかかるようになっている製品もあるようです。
次に、出血が止まるまで締めます。真ん中に棒(ワインダーロッド)があり、これを回転させることできつく締まります。この棒(ワインダーロッド)をクリップにひっかけ、さらにベルクロバンドで固定します。
そして、血液をとめる時間が長くなると後遺症も心配ですので、装着時を記録できるようになっています。
それでも出血が止まらない場合には、2つのターニケットを使う場合もあります。

一般市民とターニケット

そりゃ手足を銃でうたれてぴゅーぴゅー出血していれば、ターニケットを使うのはわかります。しかも、それを使うのは訓練された軍人です。
そんなターニケットを一般人が使えるかどうか心配かもしれませんが、有効性がわかってきたので、現在、救急隊はもちろん、テロなどを考え警察などでも採用されてきているようです。

また、昔の我が国の救急法では、三角巾を使用した止血帯法がありましたが、2005年の救急蘇生法の指針が変更され、それ以降、止血帯は教えられていませんでした。
ところが、今年2019年からターニケットを前提とした止血帯法が復活したそうです。

止血の方法とターニケットのタイミング

まず、出血を止める場合にしなければならないのは、「直接圧迫止血法」です。つまり患部の圧迫です。
検査での出血時間は2~5分といわれていますが、実際のけがではその損傷程度によって出血が止まる時間はまちまちです。
出血が広範囲の場合や直接圧迫で止血できない場合には、「止血点圧迫止血法」といって、 出血動脈の心臓側を指で強く圧迫することも考慮します。
ただ、明らかに生命危機がせまっている場合、特に、動脈が切れた拍動しながらの大量の出血の場合にはターニケットの使用を躊躇なく行う必要があるかと思います。

ターニケットの使用はリスクをともなう

ここまでターニケットを良いもののように書いてきましたが、実は、訓練を受けない素人が簡単に使用してよいかというと微妙なところです。

他人への使用は血液感染を考えないと危険

まず、感染について考えてみます。
血液には肝炎ウイルスなどが含まれている可能性があり、接触すると自分自身も感染してしまう可能性があります。
ターニケットを持った人が動脈性の出血を起こしている人の近くにいたとして、自分が加害者でなくてもターニケットを使って助けてあげるべきなのでしょうか?
配偶者や自分の子供なら当たり前にターニケットを使ってしまうでしょうし、感染などのリスクは低いように思います。
交通事故の加害者になってしまっている場合、相手に死なれたら業務上過失致死です。けが人自身にターニケットを渡して使ってもらう場合は問題ありませんが、意識を失っている場合などはどうするべきでしょう。命を救うために使用するべきなのでしょうが危険はともないます。
まったくの通りがかりで赤の他人のけが人に遭遇してしまったとしても、人道的には使うべきかもしれません。
しかしながら本当は、救急の現場では自分の身を守るのが優先です。他人の血液に触れることは患者を増やしてしまう可能性もあり、場合によっては、それにより死亡することすらあると理解しておく必要があります。
自分自身に使わない場合の感染対策として、ターニケットは感染防御手袋とセットにしておいた方が良いかもしれません。

ターニケットによる合併症で死亡の可能性もある

ターニケットは血流をとめます。血流の遮断が長時間になってくるといろんな合併症が起こる可能性があります。
そのうちの一つの有名なのが「クラッシュ症候群」です。地震の時に長い間何かに挟まれていて、助け出されたのに急に亡くなったというあれです。
高カリウム血症や腎不全などで死亡する恐れがあるので、素人判断でターニケットを巻いたまま長時間放置することがあっては絶対になりません。
また、神経麻痺などを起こし、四肢の切断なんてことになる可能性もでてきます。

救急車は優秀

救急車

救急車の現場到着所要時間は全国平均で8.5分

日本の救急車は優秀で、現場到着所要時間は全国平均で8.5分、病院収容所要時間は全国平均で39.3分だそうで、ターニケットをしてもクラッシュ症候群がおこるような時間にはならなさそうです。
実際のところ、救急車の到着が遅れて、さらに病院に行くのが遅れない限りはクラッシュ症候群の心配よりも、出血多量の心配をした方がよいでしょう。

ちなみに、2014年4月より救急救命士による重度傷病者に対する乳酸リンゲル液の投与ができるようになっているので、ある程度の出血なら圧迫止血だけで救急車の到着を待つのもありです。

災害やテロでない限りは、救急車が頼りになりそうです。

受傷後最初の10分はプラチナタイム

受傷後の最初の10分はプラチナタイムともいわれて重要となってきます。
救急車が8.5分で来るといっても通報してからですので、実際の受傷後10分は過ぎてしまっています。

それに、大腿動脈などの太い動脈からの噴出している拍動性出血では、数分で致死的状態になってしまいます。
救急車を待っている時間なんてありません。躊躇することなくターニケットの使用が重要であるといわれています。

やっぱり自分でも使えるようにしておくべき

外傷を起こしたときに、その場に医療従事者がいるとは限りません。自分で何もかもする必要があります。

その辺のタオルで縛ればいいやと思っていても、自分ひとりでの止血は難しいです。また、実際のところ、一人では止血の道具を探すのも難しいでしょう。

失血で助けられたのに死亡したのが3割というデータをみて、やっぱり自分や家族を守るためにターニケットは必要かなと思います。

購入して車に積んでおくことにしました。

アマゾンではこんな安いのもあります。使えるかどうか知りませんが。

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