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乳がん検査へのハードルが下がるか?痛くない乳がん検査
毎年10月は「乳がん月間」です。
今や日本人女性の11人に1人がかかると言われている乳がん。30歳を過ぎると乳がんになる確率は上がります。30代から50代の女性のがん死亡原因のトップが乳がんなのです。
乳がんは早期発見、早期治療すれば治る可能性はすごく高まります。
そのため、自治体などで40歳以上の女性に乳がん検診を勧めています。
一般的な乳がん検診
乳がん検診では、問診・視触診・超音波検診(エコー)・マンモグラフィ検診が行われるのが一般的です。
しかし、すべての検診をすべての年代の女性が受ける必要はありません。近親者に乳がんを経験した人がいる場合を除いては、年齢に合った検診を選択すればいいのです。
年齢が若い場合、乳腺が発達しているのでマンモグラフィ検診では乳腺が白く映ってしまい、乳腺と乳がんの区別が難しくなります。ですのでマンモグラフィ検診を受けるより、超音波検診(エコー)の方がしこりなどを発見しやすくなります。
年齢が40歳を超えると、マンモグラフィ検診、若しくはマンモグラフィ検診と超音波検診(エコー)を受けた方がいいとされています。
一般的な乳がん検診の利点と欠点
乳がん検診はどれか一つを受ければ乳がんが発見できるか、というとそうでもありません。各検診には利点と欠点があります。
問診・視触診は、特別な機器を使わなくていいという利点はありますが、しこりがある程度大きくなってからでないと判別することができないので早期発見するのが難しいと言う欠点があります。
超音波検診(エコー)は、乳腺の発達している人でもしこりを発見できたり、検診に痛みや被ばくを伴わなかったり、検査結果をリアルタイムで見ることができるという利点がありますが、全体像を記録として残すのが難しかったり、石灰化が見つけにくかったり、検査を行う医師や技師の検査能力に頼ることが大きいなどの欠点があります。
マンモグラフィ検診は、以前に行ったマンモグラフィ検診との画像比較が簡単にできたり、視触診でわからないしこりを発見することができたり、石灰化の段階で発見できた場合100%に近い治療が可能になると言う利点がありますが、被爆の心配や(そのため、妊娠中や授乳中の人は受けることができない)、乳腺の発達している人の乳腺とがんの区別がつきにくかったり、検診に痛みを伴う場合があるという欠点があります。
検診時の痛みに対する抵抗感
マンモグラフィ検診を受けた女性の感想はほぼ「痛かった」と返ってきます。
マンモグラフィ検診では、乳房を透明の圧迫板で挟み、薄く伸ばしてレントゲン撮影を行います。薄く伸ばせば伸ばすほどきれいに画像が写るため、結構な圧で乳房が押されます。そのため、どうしても痛みが伴う検診となってしまうのです。
一度マンモグラフィ検診を受けた人が、あまりに痛くて今後検診に怖さを感じてしまったり、これからマンモグラフィ検診を受ける人が、受けた人の感想を聞いて受けるのをためらってしまったりすることもあるのです。
乳がんの早期発見のための検診なのに、受けることに抵抗を感じてしまってはどうしようもありません。
痛くない乳がん検診ができるのはもうすぐ?
しかし、4年前に開発された医療機器がその抵抗をなくしてくれそうです。
その医療機器は、島津製作所が開発した乳房専用PET装置Elmammo Avant Class(エルマンモ アヴァン クラス)です。
これは今までのマンモグラフィ検診のように、乳房を圧迫板に挟むのではなく、検査を受ける人が装置の上にうつ伏せになり、装置に開けられている穴に乳房を入れるだけで、圧迫されることなく検診が受けられるのです。検診時間も全部で15分ほどと、あまり時間もかかりません。
マンモグラフィ検診がX線検査、いわゆるレントゲンなのに対し、こちらはPET検査、陽電子放射断層撮影になります。陽電子放射断層撮影とは、特殊な検査薬でがん細胞に目印をつけ、専用の装置で体を撮影する検査のことです。
このElmammo Avant Classでは、微量の放射線を出す薬剤を使います。その薬剤を注射で投与すると、がん細胞にその薬剤が取り込まれ、そのがん細胞から出る放射線をこの装置で撮影することで5mm以上のがんを発見することができます。
痛みもなく、今までより小さながんも発見できるとなればこんないいことはありませんよね。
しかし、このElmammo Avant Classはまだ全国で約10の医療機関にしか導入されていないのが現状です。
この新しい乳がん検診が一般的になれば、乳がん検診の検診率もあがるのではないでしょうか?