こた堂ブログ

高血圧治療目標が変わる!ガイドライン2019とは?

本記事はガイドライン発売前の記事ですが、アクセス数があまりに多いので、新ガイドライン発売後に一部改変しています。

2017年11月にアメリカで高血圧の定義が厳格化されたニュースを昨年1月記事にしました。アメリカでは、高血圧の定義が130/80mmHgからというかなり厳格な数字になったのです。

本年(2019年)4月、日本でも2014年以来の5年ぶりにガイドラインが改定されました。どのようになったのでしょうか?

高血圧治療ガイドライン2019の発売は4月25日から

高血圧治療ガイドライン2019については、報道でいろいろ噂されていました。特に様々な分野においてアメリカを追従している日本では、アメリカの基準が下がったことで何らかのアクションがあると思われました。最終決定した新ガイドラインは4月25日に発売開始になりました。

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高血圧治療の新ガイドラインに変更があったのか?

2017年11月アメリカの高血圧の基準は下がりましたが、2018年6月ヨーロッパでは基準の変更はありませんでした。それで大きな圧力にならなかったためなのか、その後の2018年9月に開かれた日本高血圧学会の総会では診断基準の変更はないことを確認したようです。ネットであったガイドライン草案では、基準の140/90mmHg は変えずに、合併症のない75歳未満の降圧目標130/80mmHg未満に引き下げようという方向性だそうです。

しかし、さらに検討を重ねて、実際に発表されるガイドラインはどうなったのでしょうか?患者や医療に影響が大きいだけに注目されていました。

新高血圧治療ガイドライン2019

この記事はガイドライン発売前の記事であるため、以下に新しいガイドラインをまとめました。

昔の基準である高血圧治療ガイドライン2014

いままでの日本では2014年のガイドラインに基づいて治療がされていました。その中で高血圧は140/90mmHgからという基準でした。
アメリカで高血圧になってしまった血圧130~139/85~89mmHgは、正常高値血圧というカテゴリーになっていました。

草案ではこの正常高値血圧の「正常」という言葉を外して、高値血圧にするとなっていましたが、最終的に、草案通りになりました。

この高血圧治療ガイドライン2014は現在も売られています。4月25日以降は新ガイドラインが発売されますので、間違えて購入しないように注意してください。

ちなみに、旧ガイドラインのお値段は2376円ですが、新ガイドラインは1000円も値段が上がっています。

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患者への影響

基準がかわると、患者や医療に影響があります。患者であれば、少しだけ基準値を超えているだけという気分から、一気に病気が悪くなった気分になって不安が増大します。医者も説明が大変です。何より、今まで正常と思っていた人が病人になってしまいます。生命保険に入れなくなるかもしれません。

新ガイドラインが発表された現在、高血圧の医療はどうなっていくのでしょうね。

治療の基本は、非薬物療法

基準が変わろうが、治療目標が変わろうが、自分自身が変わるわけではありません。

まず、私たちがしなきゃいけないのは、自分の血圧を知ることです。そのうえで、140/90mmHg以上であれば医療機関を受診が推奨されています。

医療機関に行っても血圧が少し高いレベルなら非薬物療法から始まります。もちろん薬物療法が始まっても非薬物療法も同時にすすめられます。

降圧治療の基本は、非薬物療法と言われています。すなわち、食事(減塩・カロリー制限など)、適度な運動が重要です。肥満気味の人は減量なども有効です。まあ、最近の寄生虫ダイエットなどを考えなければ、減量は食事&運動と同じことだとは思いますが。

ようは、よほどの高血圧や運動をしちゃいけに人を除くすべての人が、一般に言われている「健康な生活習慣」をするのが良いということですね。

降圧薬治療を受けている人についても、現在のガイドラインにおける降圧目標を達成していなければ、それを達成するべきです。つまりは、ガイドラインが変わったからと言って、過度な不安は必要ないですし、すぐには治療が変わることはないのではと思います。

諸外国の高血圧ガイドライン

食生活や生活習慣、特に労働条件やストレスが違う外国のガイドラインが参考になるかどうかわかりませんが、実際に、学会でも比較検討されているようですし、諸外国の高血圧の基準をみていきましょう。人種間の違いがあるというのでなければ、科学的検証された結果のガイドラインなら参考になると思います。

アメリカの高血圧ガイドライン

2017年11月、アメリカ心臓病学会とアメリカ心臓協会は、心臓協会学術集会で高血圧の新ガイドラインを発表しました。2003年以来の改定です。それによると、これまで140/90以上であった高血圧の基準が130/80mmHgに引き下げられました。

アメリカの高血圧薬の患者は、基準が変わったことによって、高血圧症の患者は14%増加し、7000万人から1億人以上になったといわれています。アメリカ国民の3分の1~半数が高血圧患者になってしまっているようです。

しかし、実際に治療が必要となるのは高血圧患者のうち5分の1程度で、新ガイドラインによって血圧コントロールが不十分な患者が増えたものの、必ずしも薬物治療が必要な患者が増えたというわけではありません。

アメリカでも高血圧の治療は、まずは食事や運動など生活習慣の徹底した管理や改善が必要となります。それでも改善しない140/90mmHg 以上の血圧なら薬剤治療が必要となるので、実は、診断基準は厳しくなりましたが治療という意味では以前の基準とそう変わってないのかもしれません。

ヨーロッパの高血圧ガイドライン

2018年6月に開催されたヨーロッパ高血圧学会で発表された新しい高血圧治療ガイドラインでは、高血圧の基準値は140/90mmHgと今までと同じになりました。ただ、降圧目標が、忍容性があれば130/80mmHg未満に下げられました。前年のアメリカの基準の変更があったため注目されていましたが、全面的な追従を避けた感じになっています。

欧州高血圧治療ガイドラインの英語原文では「忍容性」はtolerated。忍容性の意味、忍容性が高い薬物とは?忍容性と安全性の違いなど。
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