こた堂ブログ

NGT山口真帆さんの事件から考える 不起訴になった事件が再び起訴される可能性

不起訴になったらもう起訴される可能性はないの?

AKBグループの一つ、新潟を拠点とするNGT48のメンバーである山口真帆さんが自宅に押し入ってきた男性らに顔などをつかまれるなどの暴行を受けた事件発生から約4か月もたとうとしていますが、いまだすっきり解決にはいたっていません。
先日、AKBの運営会社であるAKSが、第三者委員会の調査報告を行った際に、被害者である山口真帆さんがツイッターで反論をするなど、まだ大混乱となっています。
事件が発覚したのは、今年1月に山口真帆さんが自らファンに向けたshowroomという動画配信で被害を告白したことがきっかけでした。実際に事件が起こったのが去年の12月だったので、山口真帆さん本人が告白するまで、1か月も伏せられていたことになります。
なぜ伏せられていたかは、まぁ、なんというか大人の事情があったのでしょう。
しかし、運営会社が山口真帆さんが納得するようなきちんとした対応を取らなかったため、山口真帆さん自身が勇気をもって告白した、ということなのでしょう。
この山口真帆さんの告白の後、事件の経緯が少しだけ発表されました。
その発表の中に、「事件当日警察が山口真帆さんの部屋に押し入った男たちを事情聴取したが、後日不起訴となった」というものがありました。
今回は、不起訴やその理由、そして起訴の可能性などについて調べてみました。示談のやり直しなどについても調べました。

不起訴ってどういうこと?

まず、「不起訴になる」というのはどういうことを意味しているのでしょうか。
刑事事件が起こった時(今回の山口真帆さんの事件も刑事事件となります)、その事件を警察や検察が調べた結果、検察官が「今回の事件は起訴をして裁判するまでもない」と判断すると、起訴しない、すなわち不起訴となるのです。
不起訴処分になった場合、前科(刑事裁判で有罪判決を受けた)はつきませんが、前歴(刑事事件の被疑者として捜査対象になった)はつくそうです。
なので、今回の事件の男性らは前歴がついたということになります。

不起訴になる理由は?

では、どのような理由で不起訴になるのでしょうか?
不起訴になる理由は、いくつか種類があるのですが主なものは
・心神喪失などの理由で、事件自体が罪とならない場合
・真犯人が見つかるなどして疑いが晴れた場合
・証拠が不十分な場合
・証拠も揃っていて、起訴するにも十分だけれど、示談などが行われ起訴をしないとなった場合
が挙げられます。
今回の山口真帆さんの事件の被疑者の男らが不起訴になったのも、上のいずれかの理由になるはずです。今回の場合は、これは憶測ですが、示談か何かが行われたか、証拠不十分ということになるのではないでしょうか。もし山口真帆さんが示談としたのなら、運営会社が事件とかかわっている他のNGTメンバーにきちんとした処分をしてくれると思ったからなのでしょう。実際、山口真帆さんが事件を告白したshowroomでも、そのような旨の発言がったようです。
しかし、運営会社は処分などはしなかった模様で、逆に被害者である山口真帆さんがファンの前で謝罪をするということになってしまいました。これでは、山口真帆さんだけが酷い目にあっていることになります。

不起訴処分になったら、もう二度と起訴はされないの?

さて、ここで単純な疑問が生まれました。
一度不起訴処分になったら、もう起訴はされないのか?
ということです。
結論から言うと、不起訴処分になっても起訴される場合はあります。
最判昭和32年5月24日刑集11巻5号1540頁には
”その余の論旨は憲法39条のいわゆる二重処罰禁止違反にをいうにあると解されるが、検察官が一旦不起訴にした犯罪を後日になって起訴しても同条に違反するものでないことは、当裁判所の判例の趣旨に照らして明らかである”
と書かれています。
憲法39条というのは、優しく言うと”罪を犯したときに罰せられなかったら、その後その罪を罰する法律ができても、罰せられない。同じ犯罪については何度も罰せられることはない”ということです。
不起訴処分の人を再び起訴するのは、それには当たらないと書いてあります。
そして、司法研修所検察教官室「検察講義案」平成18年版87頁には
”不起訴処分は、判決のように即判力を生ぜず、これによって公訴権を消滅されるものではない。したがって、不起訴処分後、新たな証拠を発見し、又は訴訟条件を具備させるに至り、あるいは起訴猶予を相当としない事情が生じた場合などは、時効が完成しない限り、いつでも再起して公訴を提起することができる。”
また、池田修=前田雅英「刑事訴訟法講義」(東京大学出版会第2版2006年)の168頁には
”不起訴処分には確定力がないから、検察官は必要に応じていつでも捜査を再開し、公訴を提起することができる”
とも書かれています。
なので、いったん不起訴処分になった事件でも、新しい証拠などがあれば再び捜査をしてもらえるし、公訴(検察官が裁判所に刑事事件の裁判を求めること)ができるということなのです。

でも示談していた場合は・・・・

不起訴処分になっても、起訴される可能性があるのはわかりました。
しかし、不起訴となった理由が”示談”だった場合はどうなるのでしょうか。
色々調べてみると、基本的に示談をしてしまったら、示談のやり直しはできないそうです。まぁ、普通に考えるとそうですよね。示談を何度もやり直されていたら、話が終わりませんから。
でも、本人の意思とは違うようなこういう場合は、ごくまれに示談の無効や取り消しができる可能性があるそうです。
例えば、騙されて示談してしまっていた場合や、脅迫されて示談してしまった場合などがそれに当たるそうです。
今回の山口真帆さんの事件の場合には、どうなるか気になるところですよね。
仮の話ですが、示談したかどうかは今は不明ですが、示談が不起訴の理由であるなら、本人が進んで示談をしたっぽくない感じがしますよね。
運営会社などに騙されたとか脅迫されたとかがあった場合には、示談無効や取り消しもありえるようです。

あくまで個人の考えと調べてみたレポートです

つらつらと書いてきましたが、私は法律の専門家でもなんでもありません。
ここに書いたことがすべて正しいかどうかは保証しかねますので・・・ご了承ください。

とにかく、被害にあった山口真帆さんが本当に納得する結末になることを望んでいます。

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