こた堂ブログ

ホワイトタイガーはアルビノではない。人為的な交配が関与。

松阪こた堂接骨院

動物園で人気の高いトラ。
トラのイメージは黄色に黒の縞々の体毛、太い手足に長いしっぽですよね。しかし、その特徴的な体毛の色が違う「ホワイトタイガー」をご存知ですか?

ホワイトタイガーとは?

ホワイトタイガーとは、独立した種ではなく、ベンガルトラの遺伝子が変異して生まれた変種なのです。ですので、正式名称は「ベンガルトラ白変種」と言います。
遺伝子変異ですので、いわゆるアルビノとは違い、瞳孔は黒く、体毛にも黒の縞模様が残っています。(個体によっては真っ白な体毛を持つものもいるそうです)
その他の特徴としては、目が青く、肉球や鼻の色が肌色です。
生息地や、習性などはベンガルトラと同じで、ネパールやインドの森林地帯や、湿地帯の草原、川の近くの藪などに生息し、泳ぎがとても上手です。
トラの中でも大柄な部類で、大きい個体だと体長が3メートル、体重が250kgを超えるものもいます。

なぜホワイトタイガーが生まれるのか?

ホワイトタイガーのような「白変種」は、トラやライオンやキツネなどの哺乳類、ワニやヘビなどの爬虫類、クジャクやフクロウなどの鳥類と広く存在が確認されています。
ホワイトタイガーの場合、ベンガルトラとDNAを比較してみたところ、1つの遺伝子変異により、赤や黄色の色素が作られなくなったため「白変種」になったことが判明しました。
現在生き残っている生物は、繰り返される氷河期と間氷期を経験しており、氷河期に保護色となる「白色」になることは生存確率を上げる重要な資質で、そのため、「白化」する遺伝子情報が脈々と受け継がれた結果、「白変種」が生まれると言われています。

野生のホワイトタイガーも現存する?

遺伝子情報として「白化」を持っているなら、野生のベンガルトラの中にも「白変種」が今でも存在する、はずですよね。
しかし、残念ながら野生のホワイトタイガーの目撃情報があったのは1958年が最後となっています。
現在生存するホワイトタイガーは、「全員血のつながりがある」のです。

全員血のつながりがあるとは?

ホワイトタイガーが生まれるためには、「白化」遺伝子を持っていることが大前提です。しかし、「白化」遺伝子は劣性遺伝子であるため「白変種」が生まれることは稀なのです。
「白変種」が生まれる可能性は、種普通のベンガルトラ同士よりも、「白色種」のホワイトタイガーとベンガルトラを掛け合わせる方が高くなり、「白変種」同士だと100%「白変種」が生まれるわけです。
そのため、兄弟間や親子間での交配行われ、「全員血のつながりがある」状態となっているのです。

ホワイトタイガーの問題点

この様なホワイトタイガーの交配は
・死産の可能性が高くなる
・斜視や関節形成不全などの病気や障害の発現率が多くなる
・寿命が短い
などの問題が出てきています。
遺伝子情報が近いと、同じ問題を抱えた遺伝子を父母両方から受け継ぐ可能性が多くなり、血縁がない相手との交配より病気や障害の発現率が高くなってしまうためです。

大牟田市動物園が提唱したこと

この様な事実を踏まえ、大分県の大牟田市動物園は、今年2月に、

「今後ホワイトタイガーを飼育することはありません」

と書いた看板を設置しました。
この大牟田市動物園には現在、ホワイトタイガーの「ホワイティ」が飼育されています。

このホワイティは17歳、人間でいうと80歳くらいです。その目は内側に寄ってしまう内斜視で、後ろ足の関節がうまく形成されなかったためうまく歩けません。
それらは、上記の交配からの障害と考えられます。
そのようなホワイトタイガーをめぐる現実を知ってもらおうと、大牟田市動物園は看板を設置したのだと言います。

ベンガルトラ自体も絶滅危惧種であり、動物園で保護・飼育をしています。
しかし、ホワイトタイガーは「綺麗」「珍しい」と動物園の目玉となるため、人間のエゴにより「生産」されている感も拭えません。

ホワイトタイガーは動物園で保護されているのか?無理矢理生産されているのか?
あなたはどう感じますか?

モバイルバージョンを終了