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まさか?国連が資金不足 その理由とは

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国連が破産してしまう? 国連事務総長が「かつてない現金不足」と言及

2018年7月25日付の書簡で、「加盟国が分担金の支払いを遅らせているため、現金がすぐに底をつきそうだ」と国連事務総長が職員に訴えたとのニュース報道がありました。
国際連合、いわゆる国連はどのような機関で、どのように運営されているのでしょうか。

国際連合とは

第二次世界大戦を防ぐことができなかった国際連盟の反省を踏まえ、51か国の加盟国で1945年10月24日に設立されました。この51か国は「国連原加盟国」と呼ばれています。
原加盟国は、
・アルゼンチン ・オーストラリア ・ベルギー ・ボリビア ・ブラジル ・ベラルーシ ・カナダ ・チリ ・中国 ・コロンビア ・コスタリカ ・キューバ ・チェコスロバキア ・デンマーク ・ドミニカ共和国 ・エクアドル ・エジプト ・エルサドバドル ・エチオピア ・フランス ・ギリシャ ・グアテマラ ・ハイチ ・ホンジュラス ・インド ・イラン ・イラク ・レバノン ・リベリア ・ルクセンブルク ・メキシコ ・オランダ ・ニュージーランド ・ニカラグア ・ノルウェー ・パナマ ・パラグアイ ・ペルー ・フィリピン ・ポーランド ・ロシア連邦 ・サウジアラビア ・南アフリカ ・シリア ・トルコ ・ウクライナ ・英国 ・米国 ・ウルグアイ ・ベネズエラ ・ユーゴスラビア
です。
日本は80か国目の加入国として1956年12月18日に加入しました。同年に加入した国はモロッコ、チュニジア、スーダンです。
現在の加入国は193か国で、一番新しく加入したのは2011年の南スーダンです。
国連内では6か国語(英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語)が公用語として話されています。
国連の主たる目的は、「国際平和・安全の維持」「諸国間の友好関係の発展」「経済的・社会的・文化的・人道的な国際問題の解決のため、および人権・基本的自由の助長のための国際協力」とされています。(国連憲章第1条)

どうやったら国連に加入できるのか

まず、加盟対象の国は「国際連合憲章に掲げる義務を受託し、且つ、国際連合の機構によってこの義務を履行する能力及び意思があると認められる原加盟国以外のすべての平和愛好国」(国際連合憲章第2章第3条)で、主権国家とされています。
そして、加盟するには国際安保理事会の勧告に基づいて開かれた国際連合総会決議で加盟の承認を得る必要があります。(国際連合憲章第2章第4条)
ですので、主権があり事実上の独立国家でも、国際的に認知されていなかったり、特定の加盟国からの反対がある場合は国連に加盟することができません。
日本の親愛なる隣国の台湾も、この理由で国連加盟国ではありません。

国連の財政は

国連の財政は、通常予算とPKO予算に分かれています。
通常予算は、主に国連加盟国の分担金で賄われています。分担率は加盟国の経済的水準や支払い能力に基づいて算定され、専門家から構成される分担金委員会の勧告に基づいて総会が承認します。2000年にはいかなる国の分担率も上限22%と総会で決定されました。
PKO予算も各国の分担金によって賄われているのですが、安保理常任理事国の分担率が高くなっています。
ちなみに、2015年~2017年国連通常予算分担率・分担金のトップ10は以下の通りとなっています。
1位 米国(アメリカ合衆国) 分担率 22% 分担金 6億1080万ドル
2位 日本 分担率 9.680% 分担金 2億4420万ドル
3位 中国(中華人民共和国) 分担率 7.912% 分担金 1億9980万ドル
4位 ドイツ 分担率 6.389%  分担金 1億6110万ドル
5位 フランス 分担率 4.859% 分担金 1億2260万ドル
6位 英国 分担率 4.463% 分担金 1億1260万ドル
7位 ブラジル 分担率 3.823% 分担金 9640万ドル
8位 イタリア 分担率 3.748% 分担金 9450万ドル
9位 ロシア 分担率 3.088% 分担金 7790万ドル
10位 カナダ 分担率 2.921% 分担金 7370万ドル

何故財政が苦しいのか

それは、ずばり分担金を支払っていない国が多いからです。
2018年7月26日現在、加盟国193か国のうち81か国が分担金を支払っていないのです。約40%にも及ぶ国が支払っていないとなると、財政が苦しくなるのも納得できます。
その上、分担金未払国の中に、最大の分担金拠出国のアメリカが含まれているのです。つまり、予算の22%がアメリカが未払いの為無いのと同様なのです。
アメリカの他の未払国はスーダン、アンゴラ、ケニアなどのアフリカ諸国と、イラン、シリアなどの中東諸国、韓国、北朝鮮などと言われています。
少し古いデータなのですが、2012年10月時点でのアメリカの滞納額は7億4400万ドルだったそうです。
アメリカにはアメリカなりの言い分があり、「国連の組織と業務に無駄が多い」ので分担金の支払いを制限しているそうです。

日本はどうなのか

日本はこれまで国連分担金を滞納したことは一度もありません。
国連加盟国としての義務をきちんと果たしているのですが、なぜか国連内での発言権はあまり強くないように見受けられます。
中国の強い反対があるため、常任理事国に入ることもできない現状です。(ちなみに中国は滞納しています。)
分担金を支払っていない国の発言権が強いというのは、少し腑に落ちませんよね。

未払の加入国が減り、国連の本来の目的が純粋に遂行されるように、きちんと軌道修正が行われることを願うしかありませんね。

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