こた堂ブログ

犬や猫の”ボランティアドナー”の存在を知っていますか?

犬や猫も手術をする時輸血の必要がある場合がある

動物の手術にも輸血はある

わんちゃんや猫ちゃんを飼っている人で、「手術」と聞いて思い浮かべるのは「避妊手術」や「去勢手術」が多いかもしれません。
それらの手術は、日帰りや、一泊二日で、ほぼほぼ手術の失敗などもなく、わんちゃんや猫ちゃんへの後遺症も少ないものです。

しかし、もちろんもっと大変な手術も行われることがあります。

事故に遭ってしまった場合や、腎臓病や悪性腫瘍などの手術は、「輸血」が必要となってきます。

輸血用の血液はどうやって確保するのか?

人間の手術で輸血が必要となった場合は、赤十字など「輸血用血液」を提供してくれるところから運ばれてくるわけですが、動物の手術で輸血が必要となった場合は、どのように「輸血用血液」を確保するのでしょうか?

動物の輸血用血液については、赤十字のような制度はないそうです。

なので、動物病院が「輸血用血液」を準備・確保するしかないというのが現状のようです。
獣医さんで大型犬を飼っている人が多いのは、犬が好きなのはもちろんですが、もしもの時に飼っている大型犬が輸血のドナーになれるから、という理由もあるのだそうです。

だからと言って、獣医さんが飼っている大型犬だけで輸血用血液が賄えるとは限りません。
ですので、手術施設がある動物病院では、ボランティアドナーを募集しているところもあります。

ボランティアドナーになるには

では、輸血用血液のドナーになるにはどうしたらいいのでしょうか?

基本的に、ボランティアドナーは犬と猫が募集されています。
しかし、もちろんどんな子でもいいわけではなく、条件があります。
条件は、動物病院によって多少は違ってきますが、共通しているの部分も多いようです。

ボランティアドナーの基本的な条件

ネットで調べてみると、犬のドナーの場合、体重の条件が病院によって幅がありました。5㎏以上のところもあれば、20㎏以上のところもありました。
猫のドナーの場合、完全室内飼いの条件がつけられていることもありました。

あと、「おとなしい子」というのもありました。採血するときに大暴れされると困るからだそうです(笑)。

ボランティアドナーを募集しているかどうか聞いてみよう

ドナーに興味があるなと思った方は、かかりつけの動物病院さんがドナーの募集をしているかどうか聞いてみてくださいね。

動物の輸血の仕組み どうなってるの?

ボランティアドナーのことを調べているときに、もう一つ疑問に思ったのが、動物の輸血の仕組みがどうなっているかでした。
気になったことを調べてみましたよ。

動物にも血液型はある

人間には「血液型」がありますが、動物にもあるのでしょうか?

答えは、血液型はあります

犬の血液型

犬の血液型は、「DEA式」で分類されます。DEAとは、Dog Erythrocyte Antigenの略で、日本語に訳すと犬赤血球抗原 になります。難しいですね・・・。
血液型は、13種類以上あるといわれていて、主な血液型は、DEA1.1、DEA1.2、DEA3~DEA13となります。

その中で、マイナーなものを除き、 DEA 1.1、DEA 1.2、DEA 3 ~DEA 8 の8種に分類しているのが、国際基準のDEA分類です。

そして、驚いたことに、1匹の犬が複数のDEA型を持っているんだそうです。

また、 抗原ではなく、抗体によって9種類に分類した「日本式表記・D式」もあるそうです。

猫の血液型

猫の血液型は、「AB方式」で分類されます。人間の「ABO式」とよく似た分類のされ方ですね。
血液型は、A型、B型、AB型の3種類で、日本に居る猫は圧倒的にA型が多いそうです。

血液型の判定はどうするの?

犬や猫の血液型の判定は、血液型判定キットをつかって動物病院で判定してもらうようです。

犬の場合は、輸血で拒絶反応を起こしやすいDEA1.1という血液型に対して陰性か陽性かだけを検査することが多いようです。その理由は、後でも触れますが、血液型が完全に一致しなくても輸血できるからだそうです。

猫の場合は、A型・B型・AB型のどれであるかがわかるそうです。

犬種、猫種が違っても輸血できる?

基本的には、血液型さえ適合していれば、犬種・猫種が違っても輸血できるそうです。
輸血する際には、血液型の確認と共にクロスマッチテストと呼ばれる、より詳しい適合試験を行って、安全性を高めるそうです。

でも、犬の場合は事情が複雑で、最初の輸血は違う血液型であっても問題がないことが多い(他の血液型に対する抗体を持っていないため)のですが、2度目以降になると抗体ができてしまっているので、血液適合検査が必要となるそうです。

また、秋田犬だけは、他の犬種より赤血球細胞内のカリウム濃度が高いために、他の犬種に輸血することはできないそうです。

動物用血液製剤などは全くない=輸血にしか頼れない

人間の手術だと、輸血以外にも輸血用血液製剤や血漿製剤などが使われることがありますが、動物の手術に使う、輸血用血液製剤や血漿製剤は、薬機法(
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 )で承認がされていないため、全く無い状況です。

ですので、動物の手術に必要な血液は、ボランティアドナーから頂いた血液に頼るしかないそうです。

しかも、「A動物病院でドナーから頂いた血液を、B動物病院で手術の必要な動物に提供する」ということも出来ません。
それをしてしまうと、未承認の薬(この場合血液)を提供=未承認の薬を販売している(金銭が発生していなくても販売とみなされる)、とされ、薬機法違反となってしまうのだそうです。

ですので、最初の方にも書きましたが、A動物病院で輸血が必要な手術が必要な時は、A動物病院にボランティアドナー登録してある動物からの血液で輸血を行うしかない=動物病院で輸血を準備・確保するしかないのです。

ペットの犬や猫が輸血が必要となる手術を受けるのは、なかなか大変なことなんだということですね・・・。

広がれ、ボランティアドナー!

人間の医療技術と同様に、動物に関しても日々医療技術が進歩しています。

昔と比べると、出来る手術なども格段に増えているのではないでしょうか?
手術をすれば助かる命であれば、ペットも大事な家族ですから助けてあげたくなりますよね。
ペットの輸血は、そんな場合必要不可欠となってきます。

このボランティアドナーに、たくさんの人やペットが協力してくれるようになるといいですね。

モバイルバージョンを終了