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インドで死者!ワクチン等予防法のないニパウイルスとは?

ニパウイルス感染症

ニパウイルス感染症

インドでニパウイルス感染症のため死者~二パウイルス感染症とは?

インドのケララ州コジコーデ地区で、ニパウイルスによる死者が複数でています。
ケララ州公衆衛生当局は、インド保健省やWHOと連携して対応にあたっているとのことですが、終息するでしょうか。

インドケララ州はどこにあるの?インド観光は大丈夫

インドのケララ州は、インドの南端にあります。
インドの南端は、ナードゥ州とケララ州が二分しているのですが、スリランカと反対側がケララ州になります。

インドと言えば、衛生面や治安面で不安なニュースが流れることが多いですが、このケララ州は、教育水準も高く、治安もインドでは良いと言われているので、観光客にも人気になっています。

コバラムビーチなどでのビーチリゾート、豊富な果物や海産物が採れ、スパイスの産地としても有名なので魚料理などの現地の料理、インドの伝統医学のアーユルヴェーダなどが格安で体験できるなど、インドを代表する有名なスポットはないですが、多くの観光客が訪れているようです。

ニパウイルスとは?感染経路など

二パウイルス(Nipah virus:NiV)は、パラミクソウイルス科へニパウイルス属に属します。

ニパウイルスは、オオコウモリを自然宿主としており、オオコウモリの唾液や尿から家畜や野菜が汚染され人間に感染すると考えられています。
オオコウモリは、「フルーツバット」としても知られ、果実を主食としており、食べ残した果実片からも、ニパウイルスが分離されています。

1998年にマレーシアで急性脳炎が流行した原因がニパウイルスであったのですが、この際の感染経路は、オオコウモリからブタで増殖して、ヒトをはじめ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、トリなどに感染していったようです。ただ、医療関係者の発症はなかったため、人から人への感染は起こらなかったようですが、2004年のバングラデシュでの流行では、オオコウモリからヒトに感染し、人から人に感染した可能性があるようです。

ちなみに、「ニパ」という名前は、患者の村の名前をとってつけらてれいます。

ニパウイルス感染症の症状や致死率

ニパウイルス感染症では、初期症状として、発熱・頭痛・筋肉痛などインフルエンザのような症状があげられます。重症になるとけいれん・意識レベルの低下・昏睡など脳炎の症状が起こります。
また、めまい、嘔吐、空咳などが見られた患者もいます。

致死率は、50%~75%程度もあると言われています。(患者数475人のうち死亡者は251人)
死亡までは、早くて5日、平均10日程度とかなり早く症状がすすみます。もし死亡を免れたとしても、神経学的な後遺症が残る可能性が高くなっています。特に、1~2日で昏睡状態になってしまうなど、意識レベルが低下してしまうと完全に回復するのは難しくなるようです。

ニパウイルス感染症の潜伏期間

潜伏期間は4~18日と言われています。

ニパウイルス感染症の診断

臨床症状のみでは、他のウイルス性脳炎との鑑別は困難です。問診で、発生地域への渡航歴やブタやコウモリとの接触歴を確認する必要があります。

実際の診断では、酵素抗体法(ELISA)で、一次スクリーニングをして、擬陽性を排除するため、生ウイルスを使って中和試験を行います。

日本では、ニパウイルスは、感染症法において三種病原体に指定されており、「国立感染症研究所病原体等安全管理規定」では、Biosafety level 3(BSL3) 病原体に分類されています。
BSL3では、ニパウイルスの取り扱いは臨床検体からの少量培養に限られており、診断目的以外の培養や大量培養は BSL4 施設で行うことになっていますが、日本では、近隣の大反対にあうために、この施設BSL4は実際には稼働していません。

診断は、遺伝子を検出するPCR法でも可能であるようです。

ニパウイルス感染症の治療

現在のところ、対症療法のみで、確実に有効な治療法はありません。
人工呼吸器をしたり、急発作にはフェニトインを静注、血管炎からくる血栓症には、抗血栓薬などを使用しているようです。
抗ウイルス剤のリバビリンの経口投与や静注もされていますが、有効性については現在も研究中だそうです。

ニパウイルス感染症の予防

現在のところ、有効なワクチンは開発されていません。

ニパウイルスの自然宿主であるオオコウモリは、 熱~亜熱帯地域に広く分布しています。コウモリから、豚をはじめ、犬や猫など他の動物に感染します。
流行地域での、動物との接触を避けることが唯一の予防策となっています。

動物を触った後はもちろん、人から人への感染も可能性があるので、手洗いをしっかりしましょう。
呼吸器症状のある動物や患者からの飛沫感染も知られていますので、現地で病院に行く必要があるなら、マスクが必要ですね。

また、果物からのウイルスの検出もされているので、現地の果物は、傷がないかよく確認して、よく洗い、皮を剥くか、できるなら加熱することが重要です。

現在、日本での報告はありません。海外での発生情報に注意して、流行地域には極力近づかないことが重要ですね。

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