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米国内科学会が糖尿病の管理目標をHbA1c7%~8%と激甘に

ヘモグロビンA1c

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米国内科学会が糖尿病の管理目標をHbA1c7%~8%と激甘声明発表も、米国糖尿病学会は即時反論

糖尿病患者さまが気になるHbA1c値、どれくらいを目標にされていますか?
気になるこのHbA1c値の目標について、アメリカでかなり甘い数字が示されました。

HbA1c値の治療目標はどれくらいか?

HbA1c値は、いったいどれくらいが良いのでしょうか?特に、糖尿病患者さまが気になるところです。
HbA1c値は、低いに越したことはありません。

ただ、あまりに低めにコントロールすると、低血糖の恐れもあります。
薬自体の副作用や、費用や手間など患者さま負担も考えなければなりません。
国全体で考えると、医療費の問題もでてきます。

では、HbA1cの目標値はどれくらいなのでしょうか?
いろいろガイドラインはあるものの、値は、その患者さまによっても違い、言うことはかかりつけ医によっても異なります。
実際、世界中で糖尿病のガイドラインが乱立していて、世界でコンセンサスができているわけではありません。
アメリカだけでも、多数のガイドラインがあります。

そこで、米国内科学会では、その妥当性を検討して、声明を出しました。
かなり厳しい評価をしたようで、意外な結果になっています。
4項目あります。

Clinicians should personalize goals for glycemic control in patients with type 2 diabetes on the basis of a discussion of benefits and harms of pharmacotherapy, patients’ preferences, patients’ general health and life expectancy, treatment burden, and costs of care.

2型糖尿病患者の血糖管理は、以下の議論をもとに個別化する
・薬物療法の利益と害
・患者さまの好み
・患者さまの健康状態や余命
・治療の負担
・費用

Clinicians should aim to achieve an HbA1c level between 7% and 8% in most patients with type 2 diabetes.

ほとんどの2型糖尿病患者のHbA1c値を7%から8%の間になるのを目標とすべきだ

Clinicians should consider deintensifying pharmacologic therapy in patients with type 2 diabetes who achieve HbA1c levels less than 6.5%.

HbA1c値6.5%より低い2型糖尿病患者は、薬物療法を減らすべきだ。

Clinicians should treat patients with type 2 diabetes to minimize symptoms related to hyperglycemia and avoid targeting an HbA1c level in patients with a life expectancy less than 10 years due to advanced age (80 years or older), residence in a nursing home, or chronic conditions (such as dementia, cancer, end-stage kidney disease, or severe chronic obstructive pulmonary disease or congestive heart failure) because the harms outweigh the benefits in this population.

以下のような2型糖尿病患者においては、HbA1cの目標値を定めるのではなく、症状を減らすように治療すべきである。
余命が10年未満の
・80歳以上の高齢者
・介護施設入所者
・慢性疾患(認知症・癌・末期腎臓病・重症慢性閉そく性肺疾患、うっ血性心不全)
なぜなら、このような患者は、利益よりも害が上回るからである。

 

1番目は、個別に対応するのは当たり前ですね。4番目も個別化と同じことかな。

2番目の「2型糖尿病患者のHbA1c値を7%から8%の間が目標」というのは、びっくりですよね。

ただ、米国糖尿病学会(ADA)の指針では、HbA1cの目標値を7%未満としており、反論しているようです。

3番目のHbA1c6.5%以下になったら、治療を減らすというのに対しても、下限を設けるべきではないのではという意見もあります。

低くても合併症の可能性があるのが懸念されます。

こんな激甘の目標値を見たからと言って、油断しないほうが良さそうですね。

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