こた堂ブログ

驚く程単純な方法で発見された人工甘味料4種類とは?

魔法の調味料?人工甘味料は意外と単純な方法で見つかったって知ってました?

何かが発見されるのは研究室の中だけではない

新しい”何か”を発見するって、どういった時だと想像しますか?

特に化学物質だと、塵一つ入り込まないような実験室で、白衣にマスク、手袋で完全装備した研究者さんが、慎重に慎重を重ねた実験によって発見されるイメージがあります。(個人的なイメージです。)
これは現代の”発見”のイメージで、今のような研究施設などが整っていない時代にはもっとおおらか?な方法で発見されていたりします。

おおらかに発された代表格?人工甘味料

現在発見されている代表的な人工甘味料の約半分が、物凄くおおらかな方法で発見されているってご存知ですか?

そのおおらかな発見方法の前に、とりあえず天然甘味料と人工甘味料の違いと、代表的な人工甘味料を説明しましょう。

天然甘味料と人工甘味料の違い

天然甘味料とは、サトウキビやテンサイから作られる砂糖や、ハチミツ、メープルシロップ、果糖など自然の植物や食べ物から作り出された甘味料を指します。

一方、人工甘味料とは、字のごとく”人工”の甘味料です。化学的に合成して甘みを作り出しているものを指します。合成甘味料と呼ばれることもあります。

今ではいろいろなものに人工甘味料が使われており、天然甘味料のみを使っているものを探す方が難しいのではないでしょうか。

人工甘味料はどんなものがある?

人工甘味料で、有名なものは

などです。

サッカリンはアメリカで広く使われています。レストランなどのテーブルで、ピンク色の小さいパッケージを見かけたことはありませんか?普通の砂糖と一緒に置かれていることがよくあるそれは、Sweet’N Low(スイートンロー)と呼ばれる製品で、ダイエットしている人のために置かれています。

また、コカ・コーラ社のダイエット飲料にも使われています。

お醤油に入っているのを発見。

ズルチンは、太平洋戦争後に日本で広く使われていましたが、その後中毒事故や毒性が確認されたために1969年に使用が禁止されました。

チクロは、食品やお菓子などで使われていましたが、こちらも催奇形性や発がん性があることがわかり、1969年に使用が禁止されました。

アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、アリテーム、ネオテームは、食品やお菓子、アルコール飲料、清涼飲料水、アイスクリームなどに幅広く使われています。

ダイエットシュガーに入っているのを発見。
お茶飲料に入っているのを発見。
味付け海苔に入っているのを発見。
カレーのルゥに入っているのを発見。
清涼飲料水に入っているのを発見。
カップラーメンに入っているのを発見。

ラグドゥネームは、世界で一番甘い物質と言われるほどですが、一般人の手には入りません。主に製薬会社や、大学などの研究室でのみ使われています。

アドバンテームは、なんと味の素が開発した人工甘味料です。ですので、味の素製品に使われていることが多いです。

10種類の内4種類もが驚きの方法で発見された

先ほど挙げた10種類の甘味料の内、4種類もが驚く程簡単な方法で発見されたのです。

みなさん、甘いものを甘いと感じるためにはどうしますか?

そう、答えは簡単、舐める、です。

4種類もの甘味料が「人が実際に舐めた」ことによって発見されているのです。

まず、1つ目はサッカリンです。サッカリンは、発見者でもあるファールバーグが、働いていた研究所で化学物質を研究した後、手を洗わずに夜食のパンを食べると、そのパンが砂糖を使ってないにも関わらず甘く感じたことが発見のきっかけでした。
研究した後に手を洗わないってどうなの?とも思いますが、そこは研究者、そんなことは気にせずに”なぜパンが甘く感じたのか”に疑問を持ち、原因物質を特定したところ、それがサッカリンだった、というわけです。

2つ目はチクロです。こちらもチクロの発見者スヴェーダがイリノイ大学で博士号の研究をしていた時、洗っていない手で唇を触ってしまった時に甘みを感じたことがきっかけでした。(ちなみに、研究中に洗ってない手でタバコを掴み、そのタバコをくわえたのがきっかけという説もあります。)やっぱり手を洗わないってどうなのかと思いますが・・・。

3つ目はアスパルテームです。発明者はジェームス・M・シュラッターですが、発見者が同じ人物かどうかはわかりませんでした。アスパルテームは、G.D.サール社が胃潰瘍の薬を研究開発しているときに、その研究員が薬を包む紙を指をなめて取ろうとしたときに、その指が甘かったため発見されました。いや、手袋は??それより唾が薬に混じるかもしれないということは考えなかったのか??

そして、最後4つ目はスクラロースです。スクラロースは有機化学を専攻していた学生が作り出しました。他の3つは発見者が偶然、といってもほぼほぼ洗っていない手を舐めて、発見しましたが、このスクラロースは勘違いで舐めたことから発見されました。
有機化学専攻の学生が、指導教授に電話をしたとき、
「その物質をtest(テスト)して」
と言われたのを
「その物質をtaste(テイスト=味見)して」
と聞き間違え、教授の指示に従って舐めたところ甘かったために発見に至ったのです。
発見されたのが甘味料でよかったですよね。毒性のあるものならその学生さんの命は・・・指導教授は業務上過失致死で逮捕・・なんてことになっていたでしょう。

この4種類の甘味料の発見のされ方を知った時、私の研究室や実験室に抱いていたイメージはもろくも崩れ去りました(笑)。
今の研究室や実験室では、素手で薬品や物質に触るなんてことはほぼ無いでしょうし、研究や実験後に手を洗わないなんてことはない(と思いたい)でしょうから、体を張った偶然で何かを発見する、というチャンスは少なくなったのでしょうね。

色々な研究や実験が進んだ現代でも、まだまだ発見されていない物質は多く残されているのかもしれません。
それらがどのような方法で発見されるのか、ちょっと気になりますよね。
個人的には、えー!そんなことで?って思うような方法で発見されたらいいなと思っています。

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