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女性には大問題!離婚後の色々な「日数」
日本でも離婚率がどんどん上がってきています
近年、日本でも離婚率が上がりつつあります。
その一因として、女性が社会進出し経済的にも自立できるようになったため、昔のように離婚する=経済的に困窮するということが無くなってきたというのもありますし、結婚に対する考え方が変わり、離婚することが恥というイメージが薄れてきたというのもあるでしょう。
3組に1組のカップルが離婚している、なんて言われていますが、厚生労働省が発表した、人口動態統計の平成29年度の離婚率を見てみると、人口1,000人当たりの離婚率は1.7となっています。 これは、1000人に対して1.7人が離婚しているということになります。
なので、”3組に1組のカップルが離婚している”というほど高くないのです。 考えてみたらそうですよね、友人たちを見回しても10人の友達のうち3人が離婚しているなんてことは無いですから、私の周りでは、ですが。
ちなみに、他国の1,000人当たりの離婚率と比較してみると
- アメリカ 2.8人
- スウェーデン 2.7人
- ドイツ 2.1人
- イギリス 2.0人
- フランス 1.9人
- シンガポール 1.8人
(世界の統計2017年版より) となっており、日本の離婚率は主な欧米諸国よりは低くなっています。
女性は離婚後すぐに再婚できない場合があるって知ってました?
離婚と言っても原因は色々あるでしょう。性格の不一致だったり、経済的なことであったり、他に好きな人ができたり・・・。
もし、他に好きな人ができてしまい離婚した場合、
離婚できた!やったー!じゃあ好きな人と即再婚しよう!
なんてことができるのは「離婚した男性」が「未婚の女性」とだけなんです。
離婚した女性が、好きな人と再婚する場合には100日間待たなければいけない場合があるのです。
再婚禁止期間
じつは、民法にしっかり ”女は、前婚の解消または取り消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。”(民法733条) と「再婚禁止期間」が定められているのです。
この100日というのも、2016年の民法改正で短縮された日数で、それ以前はなんと6か月もあったのです。びっくりですよね。
でも、この再婚禁止期間であっても再婚できる場合も”例外”としてあるのです。それは
- 離婚した時に妊娠していなかった場合
- 離婚時に前の夫の子供を妊娠していた場合は、その子供を産んだ日以降
- 再婚相手が前夫の場合
- 夫が失踪宣告を受けた場合
- 夫が生きているのか死んでいるのかが3年以上わからないので裁判離婚をした場合
などです。
問題なのは女性が離婚前に妊娠していた/妊娠した正確な時期が分からない場合!
さて、問題です。
結婚していなくても妊娠はできるでしょうか?
答えはYES、ですよね。
今やできちゃった婚(授かり婚)のカップルも普通にいらっしゃいます。 しかし、離婚後の再婚禁止期間中早々に妊娠してしまった場合や、これは倫理的にどうかと思うところもありますが、離婚前に夫でない人の子どもを妊娠していた場合、物凄くややこしいことになってしまいます。
再婚禁止期間の他にも、離婚後300日問題が関係してくるからなのです。
離婚後300日問題とは
再婚禁止期間、すなわち民法第733条が施行されたのは、今から約120年前の1898年、そう明治時代です。
その時代には、現代のようにDNA鑑定などという技術はなく、生まれた子どもの父親が誰であるのか正確に知ることができませんでした。
その上、今では廃止された家制度があったため、誰が父親なのかは重要な問題でした。
そこで、再婚禁止期間と共に施行されたのが、民法第772条”嫡出の推定”です。
嫡出の推定とは、
- 妻が婚姻中に妊娠した場合は、子どもは夫の子どもと推定する
- 結婚してから二百日経った後、もしくは離婚後三百日以内に生まれた子どもは、結婚している/結婚していた時に妊娠した(≒夫の子ども)と推定する
というものです。
この、”離婚後三百日以内に生まれた子どもは結婚していた時に妊娠したと推定する”の部分が、いわゆる離婚後300日問題なのです。
この法律は、本来は子どもの権利を守るために作られたものなのですが、現代では大きな問題となっているのです。
例えば、Aさんという女性がいたとしましょう。
AさんはBさんと結婚しましたが、BさんがDV夫であったため、別居し居場所をBさんに知らせずに弁護士などを通してBさんと離婚の話を進めていたとします。
離婚協議中にCさんという男性と出会い、AさんはCさんの恋人になりました(この例では倫理観はなしということで・・)。
何とかBさんと離婚が成立し、再婚禁止期間も守り離婚成立後100日が過ぎるのを待ってCさんと結婚しました。
しかし、なんとAさんは離婚成立前にCさんとの子どもを妊娠していました。Aさんは子どもを、離婚後290日の時に出産しました。
すると、その生まれた子どもはCさんとAさんの子どもではなく、嫡出の推定によりBさんと結婚している間に妊娠してできた子どもだということになってしまうのです。
子どもの父親をCさんとするには、Bさんに嫡出否認の訴えをしてもらうか、Aさんが父子関係の不存在確認の裁判を起こさなければいけなくなります。
しかし、AさんとBさんはDVが原因で別れたので、Bさんに協力を仰ぐのも、顔を合わせるのも嫌だということも十分考えられるのです。
もちろん、DNA鑑定などで前夫との子どもでないと証明をすれば、Bさんが父親ではないと認められますが、裁判の手続きなどで3か月ほどかかってしまいます。
今はDNA鑑定ですぐに父親が誰かを証明することができるので、この”嫡出の推定”は時代遅れだと言われているのです。
やっと法改正への動きが!
DNA鑑定で親子認定ができるようになってだいぶ経ちますが、やっと日本で法改正の動きが出ました。
法務省の研究会が「離婚後300日以内でも再婚後に生まれた子どもは新しい夫の子とみなす」ことにしようと、議論が始まったのです。
この”嫡出の推定”が改正されれば、父子関係不存在確認の裁判などに時間を取られなくても済むようになりますし、前夫との子どもだと認定されるのを嫌って出生届を出さないなどの問題も解決されるのではないでしょうか。
時代に合わせた法改正はどんどんしていくべき
法律が作られた時代と現代では、法律が作られた時代にはなかった問題が出てきたり、逆に技術化進み、法律が作られた時代ではできなかったことが簡単にできるようになっていたりします。
それなのに、昔ながらの法律をずっと守っていくというのはあまりいい考えとは言えないですよね。
もちろん、たった1時間の議論で法律が変えられるほど簡単だとも思っていません。 しかし、DNA親子鑑定のように明らかに証明できるものを、昔の”推定”の法律で判断するというのは変な話ですよね。
これからも、時代に合わせて柔軟に法律を変えていってほしいものですね。